認知症のコミュニケーション・ケアの技術

【認知症ケア最前線】 

     認知症の介護とケアに”希望”が生まれる         「奇跡のユマニチュード」

 

 

<研修情報>

  

日時;令和3年3月28日

              13;00 - 16;00

 

場所;ウイズあかし 学習室704 A        

            (20名、先着順です!)

 

 参加費;2,500円(資料代含む)

 

 申し込み;兵庫SST研究会&交流会まで

 講 師;岸本 徹彦   (元 大学・専門学校 専任教員) 


2020.8.29 ユマニチュード入門~大人の夜活動~(あかし市民広場)

ウイズ明石主催

コロナ禍の中、参加希望者で満席でしたが、夜景を眺めながら講演しました!


「認知症ケア最前線」

                                ~ 認知症の方の”心”をつかむ介護とケア~「ユマニチュード」

 

 

 

 

<研修情報>

 

 

 

日時;令和2年10月18日 12;30 - 15;30

 

 

場所;ウイズあかし 学習室704 A

 

  (15名、先着順です!)

 

 

参加費;500円

 

  (500円で受講できる最終チャンス)

 

   申し込み不要。直接会場へ。

 

講 師;岸本 徹彦

   (元 大学・専門学校 専任教員・学科長)

 コロナ禍の中、密を避けて15名の募集でしたが、定員を超えた20名の参加があり、研修は盛況でした。参加者は、福井県からの参加もあり、ユマニチュードへの期待の高さを感じました。講義だけでなく演習が多く、認知症の視覚体験では、参加者からは「目から鱗」の声が聞かれました。

 次回、2021.3.28の開催予定です。


「魔法」と云われる「ユマニチュード」

 世界的に見る認知症対策の代表的ケアは、イギリスの「パーソン・センタード・ケア」や、アメリカの「バリデーション療法」、さらに、フランスの「ユマニチュード」などがあります。     

 「ユマニチュード」は、認知症の介護とケアのために、フランス人イブ・ジネストらが35年前に作りだした認知症ケアの方法で、最後の最後の瞬間まで、その人の「人間らしさ」を支えようとする試みです。「ユマニチュード」を導入することで、認知症の問題行動の70%が改善し、要介護者や介護者のストレスを低減させると言われます。今までに対応が困難だった高齢者のケアに光を与えて、ケアする人のバーンアウトを防ぎ、「双方」に明らかな変化をもたらすと言われます。 

 は、ユマニチュードとSSTはとても良く似ています。それは、信頼関係を築く上でのコミュニケーションの取り方で、ユマニチュードもSSTも「アイコンタクト」を重視しますが、ユマニチュードは、単に「相手を眺めるアイコンタクト」ではなく、「相手の視線を捉えにいく(捕まえにいく)積極的なアイコンタクト」で、顔の20センチのところに近づき、「私を見てください!」と語りかける「注意の焦点づけ」が行われます。まさに、認知症の方の認知機能障害を受け止めた優れた「コミニュケーション技術」と言えます。

 

「ユマニチュード」の効果

 日本にユマニチュードが導入されたのが2012年頃で、まだ6年程度と短いのですが、導入前後で、ケアの負担が減ったとの報告や、看護師の観察記録の付け方に変化が生まれて、当初「変化なし」の観察記録が、「呼び掛けると、まぶたが動くようになった」など細かい観察に変わり、対象者のメッセージをより鋭く捉えるようになったと報告があります。(認知症ケア学会)

 また、介護士や看護師のバーンアウトでも、ユマニチュードを学んだ人は、そうでない人と比べてバーンアウトが減少したと報告もあります。どうしても認知症の患者さんに大声を出されると、導入する以前なら、自分が否定されたと感じてしまうことが原因と思われます。

 さらに、ユマニチュード技術の見える化研究として、受講後「アイコンタクト」が23.8倍にも増加したと報告があります。これは数値のすごさよりも、それだけ対象者との「絆」「コミュニケーション」にかける時間を支援者が重視するように変わったという点です。

 フランスでは、医療費が年間4000万円削減できたと言われ、その内訳は、向精神薬の使用が4割削減し、施設から病院への搬送が6割減少したと報告されています。慌てて病院に送らなくても、スタッフ対応で落ち着かせられるようになった結果と推測されます。バーンアウトでも、認知症フロアの職員が、導入前の4年間ですべて入れ替わり辞めていたが、ユマニチュード導入後3年間ではゼロとの報告があります。

講義と演習

高齢者の立ち上がりは「5歳児の子どもの力」を貸すだけ(本人の力をできるだけ引き出す)

(演習)真正面からの笑顔で接近、20センチの対人距離、「重み」のあるスキンシップ、など


受講者の感想(抜粋)

○終始暖かい雰囲気でわかりやすく、とても勉強になった。パワーポイントや冊子を追うだけでは入りにくいことも、隣の人との実践でやってみたことで、家に帰っても忘れないと思う。ご近所の高齢の方に試してみたい。一人ひとりの「人間らしさ」を大切にすることを教えて戴けたことだけでも本当に良かった。この研修をもっと多くの方に知ってもらいたい。

 

○目から鱗だった。地域福祉の中でも「絆」を大切にしていこうと活動しているが、当事者である私たちはあまり理解できていないのが現実。先生の講義をもっと多くの方に広く知ってもらいたい。

 

○ユマニチュードという言葉はなんとなく知っていたが、今回、深く知ることが出来た。こちら側の都合を優先して業務を遂行してしまっていたり、動いていたことに気づくことが出来た。「出会いの準備」「ケアの準備」をすることで、患者様のためになると同時に、自分も穏やかな優しい気持ちになれる気がした。いつでも気持ちに余裕を持っておくことの大切さを改めて感じた。とても有意義な時間を過ごすことが出来た。

○素晴らしく楽しい講義だった。ユマニチュードを広げていくことの意義、介護職への教育、自分自身がやってみせて、実証を示していくこと、相手の心をつかむには、まず信頼関係を結ぶために感性を磨くこと、「心こそ大切なれ」を改めて実感した。

 

○わかりやすい講義と演習だった。ユマニチュードを学んで、当たり前のことのようだけど、実際できているかと問うと難しい。先生の言われる通り、周囲も同じ考えをもって理解していないと、仕事せずに話ばかりしていると言われかねない。でも認知症のある方にとっては、どちらが良いかわかることなので、自分の施設でも、みんな職員が同じ考えのもとで働いて、良いケアにつなげられればと思う。

 

○介護の現場で働いてきたが、本当に勉強になった。今の現状は介護士主体の介護となっており、業務として時間に追われる日々。介護者側が利用者の問題行動を引き起こす原因を作っていることは、本当にその通りだと実感してきた。ユマニチュードをみんなが理解して実践することで、高齢者虐待などの問題も減ってくると思う。もっと多くの方がこのセミナーを受ける機会が増えればと思う。これからもどんどん開催してほしい。