プレイバックシアター(即興劇)

 プレイバックシアターは、1975年にアメリカで生まれた、台本のない即興(心理)劇です。1年次の「コミュニケーション論演習」の授業に導入し、1クラスの学生は6名に分けられて、1週間前に提示された「あるテーマ」に基づいて、昼休みや放課後に自分たちの自由意志で集まり、ストーリー、配役、当日の使用物品、使用音楽、時間配分、等を考えて、さらに予行演習を周囲に知られないように、発表までは密かに行っています。             

 授業当日、多くの観客の前で「5分間演じ続ける」課題を与え、5分間は途中で止めずに最後まで「無音演劇」を演じ続けます。学生は一切、言葉を使わず、身体の動きと表現だけを使って「即興劇」を演じます。最初は恥ずかしがっっていた学生も、しまいに生き生きと演じて、15回目の終了時は多くの学生がもっとやりたいと、終了を惜しみました。ここで「プレイバックシアターを取り入れたSST」研究の一貫で授業効果を検討しました。どんな効果があったのか、少しだけご紹介します。

 無声演劇;テーマ「コンビニ強盗」(観客から自然な笑い声が漏れる)

専門職養成教育における 「社会人基礎力」養成(抜粋)

~新たな可能性を引き出す「演劇的手法」を取り入れたSST~ 

(演題;SST普及協会 第22回学術集会in希望郷いわて、2017年)


「お嬢さんを僕にください」と父親に懇願しますが、父親は不満を表現しています(右)。





  「プレイバックシアター」の効果

1.KISS-18ENDCOREsの結果から分かる点                  「プレイバックシアター」を取り入れたSSTは、「即興で演じる行為」、「自由に自己を表現する行為」、「演劇前に話しあう行為」が、学生のソーシャルスキルと、コミュニケーション・スキル全般(特に、言語・非言語的な表現力と、自己主張性)を大きく向上させます

 

2.授業の満足度の高さと多数意見から示唆される点

「プレイバックシアター」創造的で、主体的に自己表現」と「身体表現」の喜び、楽しさを引き出します。

 これは、「何かを表現すること」が子供の頃の記憶に埋もれていた「感動」を呼び覚ますためだと思われます。

「プレイバックシアター」は「メタ認知」を変容させる点

  「他者や自己の短所を長所として捉えるようになった」 「人の良い点が目につくようになった」等、メタ認知に変化が生まれましたが、SSTの効果です。

周囲との関係性・対人行動を変容させる点

  「いろんな人に話しかけられるようになった」「クラスの壁が減った」など、社会性が拡がります。