兵庫SST研究会&交流会


 兵庫SST研究会&交流会は、1999年9月に設立した非営利の民間団体で、創設25年目を迎えます。医療・保健、福祉(成人障がい者福祉、就労、児童発達支援)、教育(学校、社会、家庭)、司法(刑務所、更生保護)、その他の領域に、「認知行動療法としてのSST」の理念、考え方、各種の技術(対応や接し方のコツ)を普及させることで、最大限に「市民の幸福」に寄与することを理念、目標にしています。 対象は、障がいを持つ方にとどまらず、すべての市民が、「心の健康」を維持・増進して、「生きづらさ」を軽減し、「自信」と「自己肯定感」の持てる人生を歩めること。そして、「心理教育」「社会教育」を通じて、以下の3つを柱にした「社会貢献活動」に取り組んでいます。

 兵庫SST研究会&交流会は、全国の誰でも希望する人が、段階的、専門的に、「初級研修」「スキルアップセミナー(中級研修)」「誰でも参加できるSST」等のSST研修セミナーを通じて、「人を支援する基本となる哲学(考え方)」と、「認知行動療法としてのSSTの知識と技術」、そして、「支援者と当事者が協働した共同創造(Co-production Co-Creation)」による「リカバリー支援」学べる人材教育の研修機関SSTの学校)を目指しています

 

1.誰でも参加できるSST(年6回)

 兵庫県明石市が会場です。毎回、県内外から当事者3~4名と、支援者、ご家族、一般の方15~20名の参加申し込みがあり、いつも満席となっています。支援者の間では、初対面の人同士で顔見知りとなって、再就職に繋がったエピソードもあります。受講者レビューは4.8と非常に高く、当事者だけでなく、参加した一般の方や支援者も「参加満足度」がとても高い場となっています。

2.SST初級研修会の開催(年10回)

 主に大阪と神戸が会場です。北海道や沖縄、九州からも約30名の参加申し込みがあり、毎回、早々に満席となっています。研修スタッフを紹介します。SST認定講師(岸本)は、過去に、SST普及協会研修委員会で副委員長を務めた認定講師歴27年目のベテランです。その他には、SSTを長く、熱心に学び続ける4~5名の医療・教育スタッフ(看護師、公認心理師、作業療法士、精神保健福祉士)が担当し、とても仲の良いチームを組んで開催しています。近畿圏の精神圏病院から研修依頼があり、職員向けに出張開催することもあります。

3.SST中級研修会(スキルアップ&フォローアップセミナー)の開催(年2回)

 神戸が主会場です。初級研修会を修了された約13~15名が参加申し込みをされて、こちらも毎回、満席となっています。神戸以外でも開催を希望する声も多く寄せられています。次の時代を担う若い認定講師の育成にも力を入れます。


SST(Social Skills Training)とは

 SST(Social Skills Training)は、「社会生活スキルトレーニング」と呼ばれます。SSTは「認知行動療法」の1つに位置づく支援で、対人関係を中心とする社会生活技能のほか、服薬自己管理疾病自己管理を含めた自立生活技能(Social and Independent living Skills)を高める方法です。1994年に「入院生活技能訓練療法」として診療報酬に組みこまれ、現在は、医療機関、社会復帰施設、就労支援施設、福祉施設、矯正施設、教育機関などの場で、グループ活動として実践されています。また、家庭や職場訪問など、地域での1対1の個別支援にも用いられます。精神障害をもつ人をはじめ、社会生活の上で様々な困難を抱える人のストレス対処能力や自己対処能力を高めて(エンパワメント)、自立を支援するためにSSTが活用されています。(一般社団法人SST普及協会)

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希望志向的アプローチ(hope-oriented approach)


SSTの進め方と、様々な技法


 

 

「パーソナル・リカバリー」を推進するSST


            出典:国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所

 近年、精神科医療は、リカバリ-」をゴールに据える支援に変化してきました。リハビリテーションの目指すゴールは「リカバリー」なのです。「リカバリー」には、気や症状の寛解を目指して治療者の視点から社会参加を進める臨床的リカバリー」(抑うつ気分が改善する、幻聴が少なくなる、等)と、当事者の視点から社会参加する生き方一人の人間として社会参加のあり方を身に付けるパーソナル・リカバリー」(希望が持てる、就職が出来る、人とうまく付き合える、等)があります

 パーソナル・リカバリーは、人が生きる意味を深める「回復への道のり」を意味します。精神障害を持つ人たちが将来に希望を抱きながら、他者との関わり持ち、生活と人生に充実感をもてるようになる過程、道のりです。

「リカバリー」は4つの段階があり、①希望(なんとなくではなく、明確な志を持つ)、②エンパワメント(自己決定+スキルを習得する過程)、③自己責任(結果を受け止める過程)、④生活の中で有意義な役割をもつ(例えば、人から感謝される役割、仕事がある)から成り立っています。(Rarins、2005